TCFD提言への対応

基本的な考え方

当社は、バイクをはじめとするリユース業を通じて循環型社会の実現および中長期的な企業価値向上のため、気候変動などの地球環境問題およびサステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な低炭素社会の実現を目指します。そのために、TCFD提言による気候変動による財務への影響の開示を目的とし、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの開示項目に沿って、中長期的な視点で事業活動に影響を与える気候変動を重大な経営課題の一つとして認識し、TCFDの枠組みに沿った情報開示を進め、質と量の充実に取り組んでまいります。

ガバナンス

当社は、バイクをはじめとするリユース事業を通じた循環型社会の実現および中長期的な企業価値向上のため、サステナビリティへの対応を重要な課題と認識しており、代表取締役社長を委員長とする諮問委員会およびリスク管理委員会が各担当部門と連携し、サステナビリティに関連する事項についての状況確認、対応策の協議、取り組み内容の検証などを行い、取締役会に報告を行っております。取締役会は、各会議体での検証・協議内容の報告を受け、課題への取り組みについて決議・監督を行っています。

戦略

1990年代、中古バイク市場の環境は整っておらず、バイクの不法投棄や路上放置が社会問題となっていた中、そのような問題を解決することを目指し、当社は1994年に創業いたしました。以来、当社は、「社会の発展に寄与する事 未来への文化を創造する事」をはじめとした経営理念のもとに成長を続け、社会問題を解決するとともに、バイクリユース市場のリーディングカンパニーとして廃棄の低減、新たな価値の提供に努めてまいりました。
そして、当社はコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、50年後も100年後も活躍し続ける企業、バイクライフを超えた「ライフデザイン」企業を目指しており、気候変動、資源などに関する地球環境問題やワークライフバランス、人権などの社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するための責任を果たすことこそが最重要課題であると捉えています。
このような中、2024年11月期に創業30周年を迎える当社は持続可能な社会の実現に貢献し、持続的な企業価値向上を図るため、以下をサステナビリティ基本方針として新たに定めております。

  • 社会課題の解決
    • バイクをはじめとするリユース業を軸にサステナビリティを巡る課題解決への取り組み強化、持続可能な社会の実現
    • ESG経営の推進
  • 持続的な経営基盤の構築
    • 株主、お客様、社員、お取引先、地域社会、業界などにおけるステークホルダーの皆様との建設的な対話を推進
    • 経営の公正性および透明性を確保し、コーポレート・ガバナンスの充実、社員成長の支援、循環型社会の実現などに向けた取り組みを一層強化

また、当社は、気候変動などの地球環境問題およびサステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な低炭素社会の実現を目指します。そのため、気候変動に係る戦略の策定に先駆け、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5℃未満シナリオの気温上昇時の状況を特定した上で分析を行い、短期、中期および長期的な視点で気候変動に関する移行・物理的リスクを把握し、事業への影響度を評価しております。

リスク
分類 項目 No. 中項目 詳細 発生時期 財務インパクト
移行リスク 政策/規制 No.1
  • 炭素税(カーボンプライシング)の導入
  • エネルギーコストの増加
  • ガソリン車への規制
  • 炭素税導入が、各物流センター、事業所における操業や配送などのサプライチェーン全体に影響
  • 法規制違反によるペナルティの発生
中期 :現状の事業に係るCO2排出量では、炭素税導入やエネルギー価格の高騰などにより、コストが若干増加する可能性がある
市場 No.2
  • 電動モビリティの普及
  • 電動モビリティの普及により、ガソリン車の需要が減少
  • 電動モビリティに関連する新たな整備技術への対応
中~長期 :ガソリン車の販売が大幅に減少し、技術対応に関連するコストが増加する可能性がある
評判 No.3
  • 資金調達への影響
  • 環境への配慮が不足しており、サステナビリティに欠けると判断された場合、関連する資金調達が困難
中期 :ステークホルダーから環境への取組みに対する評価が低下し、株式を含む取引などに若干の影響を及ぼす可能性がある
物理リスク 急性 No.4 洪水・海面上昇等の災害への対応強化
  • 店舗およびAC会場の被災
  • 異常気象による買取機会の損失
  • サプライチェーンの被災による納期の遅延
中~長期 :店舗の休業、復旧および在庫の損失、その他の拠点の被災などにより売上高が減少、コストが増加する可能性がある
機会
分類 項目 No. 中項目 詳細 発生時期 財務インパクト
移行機会 市場 No.1 電動モビリティの普及による新たな顧客層の開拓
  • 電動モビリティの需要拡大
中~長期 :電動モビリティの買取、販売が大幅に増加する可能性がある
製品/サービス No.2 電動モビリティの普及による新たな顧客層の開拓
  • 電動モビリティの整備需要の拡大
中~長期 :ガソリン二輪車の整備売上に代わり、電動モビリティの整備売上が増加する可能性がある
資源の効率化 No.3 ガソリン車および付属パーツの希少化に伴う需要の増加
  • ガソリン二輪車の希少価値が増加
中~長期 :ガソリン二輪車の単価が大幅に増加する可能性がある

【発生時期】・短期:~3年、・中期:3~5年、・長期:10年

【財務インパクト】 ・小:~1億円、・中:1~7億円、・大:7億円~

当社事業は二輪車の買取・販売および輸送を主としており、温室効果ガス(GHG)排出量の削減は移行・物理リスクおよび機会に中長期的に影響を与えると想定されます。そのため、当社は以下の取り組みにより温室効果ガス排出量削減に努めてまいります。

  1. a二輪車とその周辺製品の平均使用年数を延ばすことによるCO2排出量の削減

    バイクが製造されてから廃棄されるまでの年数を延ばすと同時に、バイクに関連するパーツ、用品のリサイクル事業を今後拡大し、CO2排出量の削減に努めてまいります。

  2. b電動モビリティの普及によるCO2排出量の削減

    四輪車と比較してCO2排出量が少ない二輪車の普及に努め、環境負荷の低減を推進してまいります。また、未だ電動モビリティは少数となっておりますが、今後、需要は高まっていくと想定されることから、よりサステナブルな車輌の普及ならびに脱炭素化に貢献し、新たな収益機会を創出いたします。

  3. cインフラ整備による温室効果ガス排出量の削減

    温室効果ガス排出量の削減に向け、以下の施策を強化してまいります。
    ・ペーパーレス化の推進
    ・建物照明器具のLED化の推進
    ・働き方改革の推進によるリモートワークなど、ITを活用したオフィス規模の縮小

当社は、今後TCFDの枠組みに沿った情報開示の質と量を充実するとともに、気候変動に係る中長期のリスク・機会を重大な経営課題の一つとして認識し、課題解決に向けて取り組んでまいります。

リスク管理

当社では、気候変動に係る全般の課題について、リスクと機会の抽出・シナリオ分析などの対応を推進しています。リスク管理委員会では、気候変動以外のリスクも含めて認識されるリスク全般について、重要性を評価し、その対応方針や戦略を策定しております。

指標と目標

当社事業は二輪車のリユースを中心としたものであるため、温室効果ガスの排出に関する情報の集積が比較的難しい点があります。しかし、当社の気候変動に係る課題認識からすると、温室効果ガス排出量の削減は前述の通り重要な課題であるため、今後、Scope別温室効果ガス排出量の開示を目指すとともに、各段階における削減目標の設定、目標達成に向けた戦略の策定を進め、温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。

※文中の将来に関する事項は、2023年11月期 事業年度末現在における状況を基に当社が判断したものであります。